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南アルプス:仙丈ヶ岳
南ア・仙丈ヶ岳紀行(15) 「丹渓山荘」

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(標題はブログにリンクします)


 南ア・仙丈ヶ岳紀行(15) 「丹渓山荘」  ,



 
 今は廃業となった「丹渓山荘」(内部はフリー利用可)
 (「山岳同人コリンズ」より拝借しました)
 URL; http://blog.collinz.net/article/43771037.html




丹渓山荘」で熱いお茶をご馳走になりながら、持参したアンパンを口にほお張る。
よくぞアンパンがこんなに美味いものか、と妙チクリンに感心する。

山小屋の管理人を兼ねてはいるのか、指導員の腕章をつけた先輩が、我ら雨の中をハルバルやってきた人たちをもてなしてくれている。 
有難いことだだ・・!。

お登りさん・・、かね」
「はい・・、いやー、すっかり雨に当てられて散々でした。 ところで明日の天気はどうですか・・?」 あきらめ半分で聞いてみた・
「ラジオの予報だと、今夜から明日にかけては上り調子で、晴れ間も出るようなこと言ってたよ。 でも山の天気は判らんからね」 余り自信はなさそうである。
「ありがとうございます。 大いに期待しましょう」


暖炉の周りに三人の若者が談笑している。
その内の一人が、やがて身支度をして出立するようである。 
これからの“お登りさん”であろう・・?。

「これからですか・・?。」
「はい、 をやろうと思ってます」 と丁寧に返事が返ってきた。
「お気をつけて、いってらっしゃい」

そして、空いた席へお邪魔して、暖炉にてをかざす。
未だ10月初旬とはいえ、様気のせいもあって気温はジッとしていると肌寒さを感じる程である。

後の二人は既に、甲斐駒か仙丈ヶ岳へは登り終えたものと思われ、屈託なく満足そうである。
暖炉にあたりながら、山の様子などを伺いながら一緒に談じようとおもったが、小生にやや気兼ねしてか、身支度をはじめてソソクサトと小屋を後にした。 

小生一人残されて、何か拍子抜けした感じである。
小屋は一間の大部屋で、こうして見ると何か殺風景とも思える。


すると年配の男性単独者が、口にヨーカンを頬張りながら入ってきた。
服装からして、山の経験は未だ浅そうな人であり、
「いやーに寒いなー、どうも体の調子が良くないよ。 次の山小屋までどのくらあるのだろう・・?」 と藪から棒に小生に伺いをたててくる。
「そうですね、次は北沢峠ですので、ゆっくり登って2時間半から3時間は見たほうがいいと思いますよ」

先ほど、地図で確認しておいたので、それなりに答えておいた。
ご当人は、如何にも自信なさそうであり、疲れきった様子であった。

実は、今までは序の口で本当の山登りはこれからである。
何か気の毒な気もするが何のことは無い、自信がなければそのまま降りてしまえば、いいだけのことである。


次回、「八丁坂




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 南ア・仙丈ヶ岳紀行(16) 「八丁坂」  .



 
 八丁坂;いかにも急斜面を予想させる「八丁坂」の案内板


小生は、これからが本番である。
暫く、暖をとりたいところだが、雨に濡れて、やや心持が悪い状態であったので、一息ついたところで、早々に出立することにする。
指導員の管理人さんに一言、姿が見えないが聞こえるように挨拶を交わして丹渓山荘を出た。


【 注記;昭和50年代の中ごろに完成した日本一長い林道「南アルプススーパー林道」は、周囲の議論を経ながらも南アルプスの核心部を信州長野と甲州山梨を結んだ。
無論、当初から一般車の通行はできなかった。 ただ、先にも記したが登山者用(観光用)の伊那市営バス(当時は長谷村営バス4月〜11月頃の期間・・?)が歌宿、北沢峠まで走るようになった。 そのため南アルプスの北部で人気のある仙丈ヶ岳や甲斐駒ケ岳へは、無雪の期間の殆どの人は、バスが標高2000m以上の北沢峠へ苦もなく運んでくれる。 
従って、それ以降は戸台川を遡る登山ルートは殆ど利用されなくなり、同時に戸台河原の絶好点にあった「丹渓山荘」はすっかり利用されなくなり、休業、廃業へと追い込まれたのであった。 
但し、現在でも山荘の建屋そのものは残っているらしく、冬の期間の避難小屋として利用されていると言い、特に無雪期でも「鋸岳」の岸壁をアタックする登山者は、時折屋内にテントなど張ってチャッカリ使用しているらしい。
尚、甲州・山梨県側からだと甲府駅からバスで広河原まで乗車し、南アルプス公園線を市営バスに乗換えれば同様に北沢峠まで乗り入れている。 】



さて、小生も余りのんびりしてはいられない。 
体長のほうもマズマズなようで、ただちに出立する。
今までは河原沿いの比較的緩やかな登りであったようだが、これからが本番であろう。 今までとは異なった本格的な山登りのはずである。

地図を眺めると、なるほど等高線の縞模様がギッシリと詰まっている。 
峠(北沢峠)までは2時間半と記してある。 心して行こう・・!!。


先にも記したが、赤河原、丹渓山荘は甲斐駒ケ岳(赤河原ルート)、仙丈ヶ岳(馬の背ルート)、北沢峠への拠点になっているところであり、特に、戸台川から甲斐駒ケ岳に至るルートは古くから開けていて、この先の沢との分岐で歴史ある登山道の1合目に当たる。
甲斐駒ケ岳信仰登山者は、ここの赤河原を暫く辿った後、急な尾根道を6合目までの尾根に登ることになる。 ルート沿いには甲州側の黒戸尾根登山道と同様、古い石造物が残っているという。

仙丈ヶ岳、甲斐駒ケ岳登山の何れにしても、この地まではホンノ序章にすぎない。
ここから3000m峰の本格的な登山道が始まるのである。


丹渓山荘を出た小生は無論、北沢峠へ向かうのであるから藪沢方面の尾根に取り付くことになる。
通称、「八丁坂」といわれる急坂の連続である。


空模様は相変わらずのザーザー降りで、渓流の沢音もかき消さんばかりである。
スタート地点であった広大な河原を抱いた戸台川も、この辺りへ来ると一筋の沢となっている。
この後、南アルプス特有の深い森林帯に入ることになる。


次回、「南アルプス・北部概要




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