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南アルプス:仙丈ヶ岳
南ア・仙丈ヶ岳紀行(17) 「南アルプス・北部」  

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(標題はブログにリンクします)


 南ア・仙丈ヶ岳紀行(17) 「南アルプス・北部」 ,



 
 南アルプスの名峰:北岳
 1969年の登山記録; 
 http://www.geocities.jp/orimasa2001/kitadake1969.htm 


ところで、南アルプスの山深く入り込んだ戸台川はこの地へ到って一筋の渓流となり、更にこれより急峻な谷に入り込む赤河原沢と仙丈ヶ岳から流れ落ちる藪沢の二つに分かれる。
この戸台川は小黒川と合流、更に三峰川、天竜川となって駿河湾に注ぐ。
因みに、意外と知られていないのが、天竜川の源流は日本の臍と言われる諏訪湖からなのである。

一方、鋸岳の反対側、つまり甲州側を源流するのが釜無川で、やがて富士川となり駿河湾へ流れ込む。 何れも“暴れ天竜”、“富士の急流”(日本三大急流)といわれる代表的な急流で知られる一級河川である。

静岡県にはもう一つの大河・大井川もあり、富士川、天竜川と三つの大きな河が流れている。
何れも、南アルプスを源流とする一級河川であり、我が国でも有数の急流大河川である。

諏訪湖あたりを頂点としてこの天竜・富士両川を辺として描かれる鋭角な三角形、その中の一帯が急峻な3000メートル峰を並べた南アルプスと呼ばれている山岳地帯である。

筆頭はご存知、富士に続いて第二位の海抜を持った北岳の3192メートルである。
この北岳の南には間ノ岳があり、稜線はここで東西に枝分かれし南に連なっていく。 二つの稜線の狭間に涌きでた一滴が、やがて駿河湾に注ぐ大井川の流れを造りだしているのである。


静岡県と長野・山梨両県との県境、即ち白峰三山の中央に聳える間ノ岳が南へ二重稜線に別れていて、細長い三角形が突き出た形となっている。 この二重稜線が駿・信・甲の国境をなし、この地から大井川の源流部・分水嶺が引かれているのである。

そして、この大井川源流部両岸の高い壁こそが東西に約40km、南北120kmの大山脈が横たわる南アルプスなのである。
この間、南アルプスは鉄道は勿論、公道、一般道として横断できる道もほとんど無い。
(一般車両が走れないが林道は結構造られている)

 
南アルプスの峰々は、アプローチによって北部、中部、南部の三域に分けることが可能である。 (一方、南アルプスは山姿・アプローチの面などから北部と南部の二域に分かれるとも言われる)。

南北の境界は「三伏峠」とも言われるが、北部には日本で二番目に高い山、北岳、優雅な山姿の仙丈ヶ岳、花崗岩質の甲斐駒ヶ岳&鋸岳など、それぞれが個性的且つ独立した山や峰の様を見せる。
ここに無雪期であれば、多くの登山者が訪れにぎ賑わうのである。

そして、南部は南アルプスの主稜線である赤石山脈が連なる。
これぞ南アルプス・・! 』といえる標高3000mクラスでありながら重厚な山々が、連々と続いていている。

南アルプスは森林限界が2500mと高いので、2000m級の無数の山々が、頂から裾までを深い森林で覆われており、南アルプス深南部と言われる地帯には深い原生林も残る。
アプローチの不便さから、入山する者も少ないエリアであり、逆に言えば、そんな森や山の中を何日も彷徨(さまよえる)えるのである。

まずは北部.甲府を起点とする山梨県から登る南アルプスは、花崗岩と白ザレの甲斐駒ヶ岳、続いて、富士に次ぐ海抜点をもつ北岳、その南には間ノ岳、農鳥岳が連なり白峰三山の名がある。 
北岳を取り巻く野呂川に隔てられた西側には、3つのカールを有した仙丈ヶ岳があって、
甲斐駒とともに北沢峠より登山道が整備されている。
又、伊那側からもバスが運行されていて、西からアプローチする登山者に利用されている。

甲州側、伊那側共に南アルプススーパー林道の恩恵でアプローチに優れ、北沢峠の直下までバスが通じていて首都圏からでも1泊から2泊で出かけることが可能な地域である。

南アルプス北部のこれらのピークは、高さも景観も量感も魅力たっぷりであり、かつ手軽に登れる3000メートル近い高峰であって人気も高くシーズン中は常に混みあっているのである。


次回、「アルプスの植生




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 南ア・仙丈ヶ岳紀行(18) 「南アルプスの特性」  ,



 
 鬱蒼とした南アルプスの一端



八丁坂」の急坂をを喘ぎながら登っている。
今までの河原歩きと異なって、確かに“山に向かって登っているんだ“という実感がこみ上げてくる。

本来なら急坂の場合、腰に両手を当ててグイグイ登っていくはずであるが、雨のせいもあって片手に傘を差しているので何となく宙ぶらりんな格好になり、どうもバランス良く無く力が入らないのである。

それにしてもこの八丁坂は様気(雨)のせいとは言いながら、時間帯を比較してもチョッと暗すぎる感じがしてならない。 
日の出前か、日没後である太陽が天上界から消え失せている状態にしか思えないのである。

そういえば、山脈全体を見渡しても南アルプスと北アルプスを比較すると明らかに明らかなのは(・・?)北アルプスの方であろうと誰でも納得してしまうであろう。
其々の好みは別にして、南アルプスは北アルプスに比べると派手さが少なく地味であると、大抵の登山者なら誰でも思っているのではなかろうか・・?。


連綿と連なる山様を比較しても、南アルプスは稜線近辺に到ってもアルペン的な風貌が少なく、北アルプスの派手な岩稜の連続した豪快さとは一線を譲ってしまう。
また、甲斐駒ケ岳や北岳を除けば、北アほどの「シャープ」さがなく凡庸なイメージにつながってしまうのではなかろうか。

しかし、そのことは情緒的な面ばかりではないらしい。
植物相地質層から観ても南アと北アとは明らかに異なっているともいわれる。

南アルプスの植物の垂直分布を見ると、標高の低い所から既に温帯性の常緑広葉樹林帯(照葉樹林帯)と落葉樹林帯が混在し、高度が上がるにしたがって直ぐに常緑針葉樹林帯(亜高山樹林帯)となっている。
高度1千メートルを越えるとツガ、モミ更にはコメツガやシラビソ(常緑針葉樹林)の大木が大部分を占めてしまうのである。 
つまり、南アルプスは低い高度でありながら、既に原生の「常緑針葉樹林」に覆い尽くされているのである。
また、北アの森林限界が2500〜2600メートルと言われるが、南アルプスの北部でも2700〜2800メートルもあり、被覆率も大幅に異なるのである。


一方、地質相からみても南アルプスは特徴的といえるものがあるらしい。
甲斐駒ヶ岳や鳳凰山塊の一部山域を除いて、主に黒っぽいもろい水成岩質で構成されているといわれる。
この地層は、専門的にはいろいろ言われているようだが、要は海底に積もった砂岩、泥岩などが複雑に重なり合い、古い世代に次第に隆起して陸地や山を形造ったとされる。 一般には堆積岩、水成岩とも言われ、この南アルプスの地層は「四万十層」ともいわれている。(本州中部から九州までの各地域の南部に広がる地層)

風化した水成岩は、通気性や保水性の良い安定した表土を作りやすいという特徴があるとされ、特に南アルプスは夏期の豊富な降水量と冬季の降雪量が比較的少なく雪解けも早いのもあって、植物の生育には全く理想的と言った土壌なのである。


これに対して槍・穂高等の北アルプスでは、凝灰岩(火山から噴出された火山灰が地上や水中に堆積してできた岩石)や花崗岩系(火山性マグマがゆっくり冷えて固まった岩石の一種)等のやや白っぽい岩質からなっているといわれ、南アルプスでも甲斐駒ヶ岳や鳳凰山塊ではこのような感じである。

また白馬山系の雪渓等に観られる冬の膨大な積雪量のため雪が遅くまで残り、植物の生育が阻害される。 
北アルプスでは元々白っぽい土壌の上に植物が乏しいため明るいイメージの山容となるのである。

つまり南アルプスは、植生植物の発達と黒っぽい土壌がもたらした結果、暗いイメージといわれる所以なのであろう。
 

次回、「南アルプスの植生




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