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南アルプス:仙丈ヶ岳
南ア・仙丈ヶ岳紀行(29) 「峠の山荘;長衛荘」

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(標題はブログにリンクします)


 南ア・仙丈ヶ岳紀行(29) 「峠の山荘;長衛荘」  .



 
 現在の峠のデラックス山小屋「長衛荘

  


母親が子供にかまけているので、こちらからドアーの引戸を引いて小屋の中へ入った。 
瞬間、暗くて一瞬ボーッとしてしまったが、気が付くと広々とした土間があって隅のほうにストーブが置かれていた。 

寒い感じではないがストーブには既に火が入っていて、
周りには4人の先客が暖をとっていた。

「お疲れさんです。 こちらへどうぞ・・、」と早速声がかかってきた。

奥のほうから小屋の主人らしい人が出てきて、
「お泊りですか・・?、でしたらこちらの帳面にちょっくら記入していただきますか」

宿泊名簿に氏名、年齢、住所と明日の行動予定、それに食事は自炊と記入する。
暫くして主人が・・、

お客さんは厚木の飯山の方だそうで、内の親戚の者が厚木へ嫁いでいるですが、未だ行ったことはないんでね。 厚木とはどんなとこですか・・?」

ビックリして、始めどう答えようかと思案したが、
そうですね、厚木は東京、横浜に一時間以内で行けて、海にも山にも近いいいところですよ」と、我ながら変な返事をしてしまった。 

それでも納得したように
「ほーけ、 近くにいい山(飯山)は有るかね・・?」
いい山と飯山を洒落たわけでではないだろうが、

「すぐ近くに相模の屋根と言われる1500m前後の丹沢という山並みがありますよ。 時々、足慣らしに歩いています。」

というと、ストーブを囲んでいた一人が、
丹沢なら私も時折行ってますよ」という。


下着を着替えて、雨に濡れた靴や衣類をストーブに干しながら、出された熱いお茶をご馳走になる。
それから、山談義がはじまった。

その後、ポツポツとお客が現われだした。 
その中に、女性の三人パーティが入ってきた。 

辰野駅で飯田線に乗り換えた時から戸台まで同乗してきた人たちで、何やら懐かしく親しみが湧いてくる。
軽く会釈を交わす。
背のスラーッとした大柄の一人が、友人の奥さんに似ていたので余計に印象に残っていた。


次回、引き続き「長衛荘にて




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 南ア・仙丈ヶ岳紀行(30) 「長衛荘」(2)   、



 

 
 現在の北沢峠の様子



管理人室から気にならない程度にラジオが流されていて、NHKラジオ第2放送が盛んに気象通報を流している。
“長野県地方・南部は・・、”と始まったとき、皆が自然の耳を傾けている。

それによると、“午前中は小雨も残るが、午後からは晴れ間も出る”ということだった。
マズマズの予報にホッとする。 
やはり、お天気は肝心である。


夕刻も五時を回っていたので、そろそろ夕飯の支度にかかる。
表の自炊場で圧力の利く炊飯器に火を入れる。
本日のメニュウはご飯に即席みそ汁、牛缶、海苔の佃煮、それに持参したキュウリの浅漬けなどである。 
マズマズの内容であろう・・!?。

隣で名古屋の女性三人グループが嬉々として調理に勤しんでいる。
ヒトアシお先にパクついていると、
「美味しそうですね」と声を掛けてくる。
「いや、どうも、我が家は(自分の事)は何時も麦飯なんですよ。 ほら、この通り・・!」
「実は、私の家も時々、玄米食を食べてますのよ、 この前、圧力釜を買ったばかりなの」
「麦飯もそうですけど、玄米も消化に時間がかかるので、よく噛んで食べたほうがいいらしいですよ」
取り留めのない話である。 

でも、こんな変哲のない会話がいかにも貴重に思えるのは場所柄のせいかもしれない。
口にして結構旨そうだったので、彼女らに大き目のキュウリの浅漬けを差し上げた。 すると、お返しに大粒のラッキョウを数粒戴いた。

疲れた身体や内臓に酸い味の利いた味はこの上ないご馳走である。 
特に小生はお酢をご飯にかけて食べるほど酢の物が好きであったのだ・・!。
そんなわけで、小屋から缶ビールを調達し、喉を潤しながらの夕食は事のほか美味しく戴いた。



夕刻、薄い闇が迫ってきていた。
現在、雨はどうやら上がっているが、霧が大きく、深く立ち込めていて薄暗さはこのせいもあるかもしれない。
食後の散歩に小屋の周辺をブラつく。
始め、甲斐駒ケ岳へ通ずる双児山方面の山道へ入ってみたが、林の中の道は突然として急坂になっているので、数分いっただけで引き返した。
やはり、甲斐駒ケ岳へは先程の北沢長衛小屋(駒仙小屋)の前を通って、仙水峠から登るのが一般的らしい。

仙丈ケ岳方面へは上り口が二箇所あるようなので、様子を伺ったところ一方はいきなりの急坂でこちらは尾根の道らしく、甲州側の下の道は山腹を巡るようである。

実を言うと、明日の目指す山は3000m峰の仙丈ケ岳にするか、はたマタ男性的な岩尾根の甲斐駒ケ岳にするか断定はしていないのである。
明日の体調やお天気によって決めようとも思っているのである。

山間(やまあい)は日没も早く、いよいよ闇が迫ってきたので、小屋へ戻ることにした。
定められた場所に身を落ち着ける。 
泊り客は意外と少なく、悠々と隅のスペースを広々と確保できた。

混雑する山小屋だと、睡眠はおろか寝返りをうつのもままならないほどの処もあり、これだけ隙がある状態だと熟睡もできそうである。

例によって寝床に入る前に、持参したチョコを肴に気付け薬(ウイスキー)を舐めながら、八時頃には床に入った。


次回、「仙丈ヶ岳へ




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