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南アルプス:仙丈ヶ岳
南ア・仙丈ヶ岳紀行(21) 「八丁坂・休憩適地」

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(標題はブログにリンクします)


 南ア・仙丈ヶ岳紀行(21) 「八丁坂・休憩適地」  .



木々の間から、先ほ通ってきた戸台川の谷が見えていて、そこはガスですっかり覆われていたが、今はその雲の動きも活発で、切れ間から谷底の河原がキラリと光っていた。
チョコレートとミカンを頬張る。
気が付くとジットリと汗は滲んではいるが、余り喉の渇きは感じられない。 雨で湿気が多いせいもあるのかも・・?。


親子はラジウス(白ガソリン燃料のストーブ)に火を入れて、何やら調理中であり、未だ出立の気配は無い。
小生はヤオラ腰を上げて出発する。
「そいじゃ、お先に失礼します」
「どうぞ、お気をつけて、行ってらっしゃい。」
行ってらっしゃい・・?、そう言えば彼らはこの後、登りなのか降りなのか、うっかり聞き忘れてしまった。 
のんびりしているところを見ると、或は降りなのかも知れない・・?。


出発しようとしたところへ、重装備の若者の単独登山者が一歩一歩上がってきた。
小生が立ち上がったすぐ横にドッカと腰を下ろして大きなザックを下ろす。 
やはり、こちらは休憩適地なのである。

「お疲れさん」 
「どうも、 どうやら雨も上がったようですし、これなら明日は期待できそうですね・・!」
深い呼吸をしながら、小生が言おうとしたことを云われてしまった。
二〜三言、やり取りをして、
「そいじゃ、お先に」


「八丁坂」の急坂をやりすごした後は、比較的穏やかな登り道である。 
鬱陶しい雨も上がり、気分も体調も快調に歩を進める。

ガスも晴れてきて周囲の見通しも大分良くなってきている。
林の間から藪沢の谷であろう・・?、深く切れ落ちているのが伺える。 
その向こうは重厚な尾根が競り上がっていて、上部は雲の中に消えていた。 若しかしたら仙丈ケ岳の尾根かも知れないが・・?。

此方よりやや高目のその尾根の山腹に、林を伐採したような一筋の白っぽい線が横に走っている・・?。 
若しかしたら戸台から延びている林道かもしれない・・?。


次回、「アルプスの林道




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 南ア・仙丈ヶ岳紀行(22) 「アルプスの林道」   .



 
 戸台より北沢峠間の南アルプススーパー林道(案内板)



一歩一歩、歩を進めているとき、後方からザクザクと足音が聞こえてくる。 
振り返ると先ほどの若人が悠々と追い付いてきている。 
さすがに脚が早いもんだと驚く。

「アッ、先程はどうも。 大分見通しが良くなってきましたね」
「そうですね、先程、丹渓山荘の指導員の方が、この後天気は回復に向かうでしょうと言っていたが、その通りになりそうですね」
「ところで、あそこに見えている、あの白い筋のようなものは何ですかね・・?」
若者が不思議そうに聞いてくる。


若人が指をさすほうを見やりながら、
「私もさっきから気になっていたのですが、どうやら道路らしいですね。 そう云えば、私の古い登山地図には未だ記入されていないんですけど、聞くところにによりますと南アルプススーパー林道とかいって、この下の戸台から峠まで延びるらしく、また、山梨県側では広河原からやはり峠まで既に繋がっているらしいですよ。 つまり、この道路は南アルプスの高所を横断して信州と甲州が結ばれるわけですね」

若者は怪訝そうな、その顔は疑問と当惑の入り混じった表情で彼方を見いやっていた。


「ヘェー、全く知りませんでした。林道ができると、やがて自動車が峠(北沢峠)まで延びるかもしれないですね・・!、それが、いいのか悪いのか、どうなんですかね・・?」
「どうなんでしょうかね・・?」

小生も微妙な気持ちを若者に示した。
若者もチョッと妙な疑問を抱いているのだろう、ゆっくりしたペースの小生についてくる。



思えば日本にもつい最近、環境庁(1971年 発足)とかいうお役所が出来ていた。 
つまり、自然を保護育成する役所である。 その初代の長官に「大石武一」氏が就任している。

彼は就任直後から日本の自然破壊の実情の現場に足を運び、目で確かめ、自然保護の維持に英断を下していった。
特に、自然保護の立場から尾瀬の林道開発を中止し、この南アルプススーパー林道工事も中断凍結させている。 

しかし数年後、大石氏や歴代長官が変わると自然保護行政も次第に変化を見せ始め、変更を余儀なくされていったようだ。 


【スーパー林道工事も最終的には条件付きで再開、一般車両の通行を規制した上でバス運行が認められた。
地元の一部受益者に環境庁は降参したのであった。】


次回、「南アルプススーパー林道




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