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南アルプス:仙丈ヶ岳
南ア・仙丈ヶ岳紀行(19) 「南アルプスの植生」

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(標題はブログにリンクします)


 南ア・仙丈ヶ岳紀行(19) 「南アルプスの植生」  .



 
 南アルプスに最も似つかわしい鬱蒼とした針葉樹林帯

 
 ヨウラクツツジの花(資料)



一旦、沢へ出て三本丸太の危なっかしい橋を渡り、左手の山裾へわけいる。
気が付くと、先ほど渡った藪沢のやや上流部であろう、渓相がいきなり深く荒々しい様相を呈している。

そのすぐ左手の急斜面の尾根に山道らしいのが付いている。 
フーッと一息入れて、やおら取り付く。
長い九十九折り(ツヅラオリ・・?)のジグザグの急な坂道である。 
ただ、九十九折の一辺が意外と長いので急斜面のわりには山道そのものはたいした勾配ではない。


戸台河原では落葉、針葉樹の賑やかな混成林であったが、さすがにこの辺りまで高度を上げると、主に針葉樹林帯に変わっている。 
主に、モミ(トウヒ・・?)、シラビソやツガの大木であろうが、時折、道端にヨウラク系のツツジが見受けられる。
勿論、時節柄花の盛りはとっくに終わっていて、花のあとに茶色の種子がピンと立っている。


和生の石楠花やツツジにいささか興味を持っている小生ではあるが、このヨウラクツツジはツツジ科の中でも最も気品と可憐さが備わっていると思っている。

花は主に紫ピンク色で、束状に長い花柄をもって釣鐘状に下垂するのが特徴で、一般にはツリガネツツジとも称している。
尚、石楠花は今のところ姿を見せていない。 
甲州側の谷を隔てた東に連なる秩父連山には、至る所にアズマシャクナゲが群生をなしているのに、やはり、地柄であろうか・・?。


ところで「ヨウラク」という、チョット垢抜けした名称の由来は・・、 
インドの貴族男女が珠玉や貴金属に糸を通して作った装身具から始まったとされ、主に頭・首・胸に掛ける装飾物。 
日本では仏像などの装飾に使用され、また建築物の破風などに付ける垂れ飾りのことで、紅紫色の花を仏像などの天蓋や建築物の破風などにつける垂飾り「瓔珞(ヨウラク)」に喩えたもの。

日本には7〜8種あるとされるが、小生の特に好きなのが「ウラジロヨウラクツツジ」(葉の裏側が白い)や御近所の手前「ハコネムラサキツリガネツツジ」(葉が濃い緑で微細な毛に覆われている)

尚、同様に釣鐘状に花を咲かせるツツジに「ドウダンツツジ」があるが、フウリンツツジともいい、普通一般に生垣などに見られるモノと「ベニサラサドウダン」などの珍種もある。



因みに南アルプスの植生として、一般に標高約800m以下ではモミ・カシ・シイ・タブの林が見られ、約1600mまでの間ではツガ・ウラジロモミ・トウヒの林、約2600mまでの間ではダケカンバ・シラビソ・コメツガ・ウラジロモミの林が多い。
そして、森林限界を越えた高山帯ではハイマツ群落と色とりどりの花が咲く高山植物の世界になっている。
何れも、常緑の針葉樹林帯がその大半を占めるのである。


次回、更に「八丁坂




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 南ア・仙丈ヶ岳紀行(20) 「親子連れ」  .



向きを変え、方向を変えながら急坂のジグザグの登りを10数回繰り返す。
ヨウヨウにして一息つける台地へたどり着いた。 
休憩するには適地である。

気が付くと先着の二人の登山者が一服入れていた。 すぐ近くにドッカと腰を落とし、背中の荷物を下ろした。
二人の登山者はどうやら親子のようだ。 子供はまだ中学生くらいであろうか・・?。

父親らしい年配者が、
「お疲れさんです。 お一人ですか・・?、お元気のようですね」
「ハイ・・!、でも、もうバテ寸前ですよ」
「だいぶ雨にたたかれましたが、ここへ来て小降りになったようで良かったですね。 今日はどちらまで・・?」
「あー、そうですね。 今日は峠の小屋でやっかいになり、明日、仙丈をやる予定です」
「そうですか・・!!、 一切れですが、どうですか・・?」
といって、レモンを一切れ戴いた。 

口の中にジワッーと酸い味が広がる。
生のレモンは、普段は身震いするほどの酸っぱさであるが、不思議なことに今は心地よく甘味さえ感じるのである。 

熟年の老域に達しているような人物であるが、血色も良く、余裕すら感じられる。 
山に関しては相当の場数を踏んでいるようである。

「どうやら雨も上がったようですね。 上空も明るくなってきましたよ」
「そうですね、 明日は期待できそうですね・・!」
判り切ってることだが、妙に温かみのある一言でもあった。

確かにそうだった。 
つい先刻まで土砂降り状態であった激しい雨も、今はすっかり上がっていて、薄日さへ感じられるのだ。

山屋にとってお天気ほど気になるものはなく、好天が最大のプレゼントなのである。
まして、悪天から快方に向かうときなどは気分的にも気が漲り、力が湧いてくるのである。


次回、「八丁坂・休憩適地




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