カスタム検索

南アルプス:仙丈ヶ岳
南ア・仙丈ヶ岳紀行(33) 「山の妖景」

目次)              山行記録   旅と山旅   関東百名山   日本百名山 

【本文関連情報



(標題はブログにリンクします)


 南ア・仙丈ヶ岳紀行(33) 「山の妖景」  ,



 
 シラビソとその若木

 
 二合目マーク




暫くして、小さなピークを過ぎ、鞍部になった所で峠からもう一つの山腹からのルートと合流する。 
北沢長衛小屋道との出合いであり、二合目の標識も見えた。
ここを過ぎると次第に傾斜も強くなり、特に自然のままの道は木の根がゴロゴロ、倒木が横切ったりしていて慎重に歩く必要が有る。


間もなく、足場の悪い急登にかかった。 
木の根と岩の間の急斜面の道は少し苦しい。
森林帯ではあるが岩が露出していて、時々、両手を使っての所謂、四つん這いになって進むところもある。 
しかし、このような所は小生にとっては歓迎なのである。
重心を支えている二本の脚を少しでも負担を軽くすることが出来るし、何といってもいち早く高度を稼ぐことが出来るのである。


ハリモミの大木の根が巨岩を抱いて正面に立ちはだかっている。 
異様な光景である。 
妖しい景色であり、即ち「妖景」である。
否、これが自然の真っ当な姿であろう。
人智を越えた異様な自然の造形物は、時に崇め奉る神にもなるくらいだ。
単独の小生、何やら敬虔な気持ちになって、両手を合わせ一礼を施しておもむろに通り過ぎてゆく。


今、小生はたった一人で黙々と、ただひたすら山に向かって歩いている。 
「どうしてなんだろう・・?」
「それは、或る種の修行かもしれないよ・・?」
もう一人の自分が問いかけてきて、妙な返事を返してくる。 
 


どうして山を歩くのか、山に登るのか・・?』、 命題である。

景色が良くて、 頂上での感動がたまらない、 努力が報われる、 新鮮で何かの発見がある、 朝夕の御来光、日没、 空気の清涼感、 自然との一体感 等々いろいろある。

しかし、どうもそればかりではないような気がする。
忘れ得ないものがあり、気が付いてはいないものもある・・!、 
それは山に潜む、凄む、自然が造りだす不可思議な妖景であろう。 

これは山の魅力という以上に、それ以上の山の魔力かもしれないのである。


次回、「山ノ神、山の精




【本文関連情報





 南ア・仙丈ヶ岳紀行(34) 「山ノ神、山の精」  ,


 
 山道とシラビソの純林



どうして山を歩くのか、山に登るのか・・? 』、 命題である。

特別な目的を持たない、ただ山に入り、山を彷徨し、頂を目指す。 
頂を目指して到達しても具体的に得るものは無いし、何の徳にもならない。

じゃ、なぜ山に行くのか、山を彷徨するのか・・?。
それは山の魔力に取り付かれてしまったのに違いないからである。

その山の魔力の一つに「妖景」が有る。
妖景には神が宿る。


昔は山そのものが「」として崇められた。
山に潜む「妖景」も神の化身として奉られた。
元より日本では森羅万象に命や神霊が宿るとする神道信仰があり、有名な高岳山地には山岳信仰なるものが今でもある。

神が「鎮座する」または「隠れ住まう」山や森の神域、そして磐座(いわくら)という御神体を崇める風習があった。 

又、神の名称は地域により異なるが、その総称は「山の神」、「山神」(さんじん)として崇め、山の神は一般に「女神」であるとされている。


女神であることから出産や月経の穢れを特に嫌うとされるほか、山そのものに女性の入山、参加は許されてこなかった。

「Y」の様な三又の妖景樹木には神が宿っているとして伐採を禁じ、その木を御神体として祭る風習もある。 

三又の木が女性の下半身を連想させるからともいわれる。
そこから自分の妻のことを謙遜して「山の神」という表現もある。


日本神話では大山祇神などが山の神として登場するが、実際には大山祇の娘の木花咲耶姫(コノハナノサクヤビメ)という女神に火山である日本一の秀峰「富士山」を譲り、東日本一帯の山を統治、守護することになったとしている。 


男が毎度々々山に入るのは、女性への恋愛感情に似ているのかもしれない。
山(女性)の美しさ、優しさ、激しさ、更に妖艶、魔性が加わった場合、それは男の憧れであり、魅力であり、恋愛であり、その身に触れたくなるどうすることも出来ない感情なのである。 

男が山に入ってしまうのは、山の精(女の性)に引付けられてしまうのに似ているからかもしれない。


次回、「山の霊力




【本文関連情報






  目次)             山行記録   旅と山旅   関東百名山   日本百名山 
【小生の旅のリンク集】
旅の紀行・記録集
山の紀行・記録集 山のエッセイ
「旅行リスト」
日本周遊紀行「東日本編」
日本周遊紀行「西日本編」
日本周遊紀行 (別URLです)

【日本の世界遺産紀行】 
北海道・知床  
白神山地 
紀伊山地の霊場と参詣道 
安芸の宮島・厳島神社  
石見銀山遺跡とその文化的景観 

ハワイ旅行2007
九州旅行2008
沖縄旅行2008
北海道道北旅行
北海道旅行2005
南紀旅行2002

鎌倉・湘南紀行


「山行リスト」 

立山、剣(天の記)(1971年)
白馬連峰登頂記(2004・8月)
北ア・槍−穂高(1968年)
上高地・明神(2008年)
南ア・北岳(1969年)
南アルプス・仙丈ヶ岳(1976年)
八ヶ岳(1966年)
八ヶ岳越年登山(1969年)
谷川岳(1967年)
尾瀬・燧ケ岳紀行(1973年)
丹沢山(1969年)
西丹沢・大室山(1969年)
西丹沢・檜洞丸(1970年)
丹沢、山迷記(1970年)
奥秩父・金峰山(1972年)
「上高地雑感」
「上越国境・谷川岳」
「丹沢山塊」
「大菩薩峠」
 


スキーの記録  
「スキー履歴」




inserted by FC2 system