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南アルプス:仙丈ヶ岳
南ア・仙丈ヶ岳紀行(25) 「峠へ・・、」

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(標題はブログにリンクします)


 南ア・仙丈ヶ岳紀行(25) 「峠へ・・、」  .



 
 南アルプススーパー林道とその周辺(峠の看板)



時折、薄日が差してきて眩しいほどの明るさに変化する。
ガスの動きも活発で、右手に仙丈の山腹らしいのが壮大に眺められる。 
ただ、左側頂上部は、しつこいぐらいガスが付きまとっていて姿を現さない。

馬の背でしょう。 たしか丹渓山荘からのルートになっているはずですよ。 それにしても雄大な尾根ですね・・!」 
若者が突然言う。

「そうですか、 それにしても大分見通しが良くなってきましたね」
正面を見上げると、遥かに上方まで林道が延びているのが確認できる。 
ただ、ある部分でプツリと途切れているのも判る。
“ハハーン、林道はあそこでストップしているな” 独り言である。


ところで、ここへきて身体が非常に重く感じている。 このまま行くとペースが非常に遅くなりがちである。
若者に思わず声を掛けてみた。

「今日、明日の行動予定はどちらですか・・?」
「はい」 

何か小生の問いを待っていたかのように、
「今日は峠のキャンプ場に設営して、仙丈と駒(甲斐駒ケ岳)の両方やろうと思ってます。 ただ、明日どちらへ向かおうかは未だ決めてはいません。 明日の気分次第です。」

やはりというか、山慣れした青年の様子と行動力であった。
「あ、そうですか、 無事、両方やれるといいですね。 天気も良さそうだし、きっとやれますよ。」
「はい」

ところで、峠のキャンプ場というのは峠を越えた十分ほど下った向こう側、つまり甲州側の北沢長兵衛小屋の前にあるはずである。 
仙水峠への基点でもあり、すぐ前に仙水沢が流れる。 
テントサイトはよく整地されていて、水は小屋前の施設でりようできるという。


若者にそれとなく・・、
「小生、チョット、バテ気味なので、宜しけりゃお先にどうですか・・?」
青年は遠慮がちに、

「そうですか、 そいじゃ申し訳ないけどお先に失礼致します」といって、そそくさ歩き出した。 
何が“申し訳ない”だか疑問であったが、若者の丁寧な気使いと言葉使いに恐縮する。

うしろ姿、歩きっぷりを見てみると、今までの倍のスピードで遠ざかって行くようでもある。
小生の同行しなければ、或は今頃はキャンプ場で設営に勤しんでいたことだろう。 
何か悪いことをしたような感じでもあった。

それにしても、ここまで来れば今夜の落着き先である「北沢峠」までは、ホンの一投足であろう。
今日一日、長かった道中もようやく終結である。


次回、「大平小屋




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 南ア・仙丈ヶ岳紀行(26) 「大平山荘」  .



 
 南アルプススーパー林道の傍に建つ「大平小屋」



緩やかな斜面から最後(・・?)の急斜面を登ると急に視界が広がった。
ここは、さっきから見え隠れしていた林道そのものであった。
そこには、悔しいかな乗用車が2台、行き止まりの標識の前に置かれていた。

あーあ、車道はこんなところまで来ていたのか
半ばはき捨てるように独り言をぶつける。

今まで苦労して歩いてきたこの道中は、一体、何だったのか・・?、疑問の一つも湧いてこようというものである。


車道は敷き詰めてある砂利が雨に濡れて、虚ろに光っている。 
それは“人間がヒッカイタ爪の跡”でもある。 
爪の跡は山腹の奥まで延びていて、霞の中に消えていた。


気が付くと、車道脇のチョット奥まったところに「大平小屋」が立っていた。
林道と山小屋とはチョット釣合わない、チグハグな感じが否めない。 
それでも、『仙丈ケ岳コースの最短距離は大平山荘から』と、営業文言がよい。


大平山荘情報
南アルプス林道わきの高台にあり、標高1960メートルの北沢峠西直下の長野県側にある。
明るく静かな小屋で、竹沢愛子さんは小屋の名物おばあさんといわれて人気がある。
仙丈ケ岳への藪沢新道はここから始まる。
開設予定期間 GW(4月29日〜5月4日の宿泊まで)、6月中旬〜10月末
連 絡 先 TEL・FAX:0265-78-3761(竹澤信幸)
収容人員 80人
宿泊料金 1泊2食;7,500円〜  素泊;3,500〜4,500円


小屋の前で一息入れて、直ぐに峠へ向けて出立した。
この後、北沢峠は道路を横断して小規模なジグザグの道を10分ほどの登りで到着した。
気が付くと、そこにも既に道路、車道が拓けていた。

こちらは甲州・山梨県側の南アルプス林道で、現在も工事中であるが道としての開削工事は概ね終了しているみたいである。
道程は北岳の麓、北岳、間の岳などへの登山口であ広河原から野呂川出合経由で、凡そ10キロメートルでこの峠に達しているようだ。 
名称は「県営林道南アルプス線」と称して、起点は鳳凰三山の南端・夜叉神の芦安から広河原24km、広河原から北沢峠まで10kmで全長が34kmにわたる。




【 甲州側の芦安から広河原までは道路も舗装されていて通年にわたって車の通行が可能であったが、近年やはり貴重な自然を保護しながら、南アルプスの雄大な自然環境のもと、通行の安全と交通渋滞のない快適な時間を過ごすためとして、夜叉神・芦安から広河原間及び、広河原から北沢峠間については一般車の乗り入れは出来なくなった。
期間は6月下旬から11月上旬でマイカー規制され(二輪車、自転車も規制がかかり通行できない)、芦安から広河原は路線バス、タクシーのみの利用となる。 又、広河原から北沢峠間は 南アルプス市営バスの利用となる。 これ以外の期間は冬季閉鎖となる。
尚、車(マイカー)の場合には芦安(600台)の無料駐車場に停め、バス、乗合タクシーに乗り換えて広河原、北沢峠へ向かうことになる。
甲府駅と広河原間は1日5〜7往復(1日最大、13往復)のバスがあり、広河原から北沢峠間は南アルプス市営バスが1日4往復運行されている。 シーズン中のピーク時には増便もある模様。
尚、2008年度から南アルプスの豊かな自然環境を維持していく為として、実施するマイカー規制の間、利用者はマイカー規制実施経費の一部を負担しなければならなくなった。 1人あたり、片道100円で、往復で200円(小学生以下は50円 で往復100円。但し、未就学児童は無料)  
この利用者からの協力金は、マイカー規制が円滑に行われるよう、ゲート管理や乗換駐車場の管理などに充てられるという。 】



次回、「北沢長衛小屋




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